摂食障害・入院治療の目的
摂食障害が進行し、体力が低下したり合併症が深刻だったりした場合、命を落とす危険もあります。
入院治療の目的の一つは、生命の危機にある患者の命を救うための緊急入院です。
また、外来治療ではなかなか体重増加が見られなかったり、迅速に体重を増やす必要があったりする場合には、目標体重に達するまで入院治療を行います。
また摂食障害の人は、食事の量をどの程度が適正なのかが、わからなくなりがちです。
そして過食嘔吐を家族に知られないようにするために皆が寝静まった後に過食嘔吐をし、日中寝るという昼夜逆転生活になったりします。
入院し規則正しい生活をすることで、生活リズムや食生活を正すトレーニングをします。
身体的な原因を治療する
身体に潜む原因を治す治療法「栄養療法」といいます。
摂食障害は、患者本人の病識がないまま身体的に重篤な状況に陥っている可能性があります。http://tekotekoblog.com/2021/01/30/eating-disorders-complications-2/(新しいタブで開く)でも、書いたように身体へのダメージが大きければ、命の危険もあります。その場合は、身体への治療を最優先にする必要があります。
栄養療法は可能であれば経口摂取で行ないます。食事に加え、効率的な摂取を期待し※1.栄養補助食品が用いられることもあります。経口摂取だけでは体重増加困難な場合は経腸栄養(経鼻胃管)を併用したり、栄養剤を2~3回に分けて間歇的に投与する場合もあります。胃膨満感や下痢、ダンピング様症状を防止するために、少量からゆっくりと投与し、増量を試みます。重症例の場合は低血糖頻発または脱水著明であることから経静脈持続投与を必要とすることが多いです。

※1.栄養補助食品 エンシュア・リキットが結構定番な気がします。 私は、エンシュアリキットを飲んだり、 飲めないときは経鼻胃管で摂取しました。 冷やして飲むとお腹が冷えたので、私は常温で飲んでました。 最近では、味が色々出てるみたいですね。
また治療用サプリメントや、プロテイン等を用いることもあります。
入院治療が必要なケース
下記の症状(状態)の場合、入院になる場合があります。
- 極端な羸痩(るいそう)
- BMI14以下
- 標準体重の65%以下
- 身長に関わらず30kg以下
- 最近、低血糖発作を起こした
- 歩行障害
- 重度の低血圧
- 重度の徐脈:50/分以下
- 重篤な合併症がある
また、私の場合、うつの症状も酷く、自殺行為や大量服薬をしていました。電車のホームのはしを何時間もぷらぷら歩いて、いつ飛び込もうかしていたり(駅員に声を掛けられ何もできず。飛び込んだことは一度だけありましたが、ホーム下の部分にとっさに逃げてました。)カーテンレールやドアノブに紐を引っ掛けて首を吊ってみたり(紐が切れるか、カーテンレールが壊れました。意識を失うだけで一命をとりとめました。)大量服薬で胃洗浄したり。自殺行為が頻繁にあると、それも考慮して入院になる場合があります。
入院中の生活

これは私の実体験を書きたいと思います。
私の入院生活の場合
①総合病院にて



まず行動範囲を制限された状態で、少ない食事を三食きちんと完食するトレーニングをしました。
食べることができない時は、点滴と経鼻胃管で栄養補給。この時、行動範囲、テレビ、面会や電話などの外部の人との連絡は制限されました。
完食できるようになり体重が目標値まで増えたら、次のステップ。
食事の量を少し増やし、行動の範囲を少し広げる許可が出されます。このステップをクリアしたら、さらに食事の量を増やし体重アップを目指します。
これを複数回繰り返すことで、健康な状態へと導いていくという感じです。
私は体重アップが耐えられず、行動制限も耐えられず、入退院を繰り返しました。
②閉鎖病棟

ある日大量服薬をし、意識を戻した時、知らない病院にいました。そのまま入院。これが閉鎖病棟に入院する始まりとなります。
2年入院しました。
閉鎖病棟は、精神科病院で、病棟の出入り口が常に施錠されていて、入院患者や面会者が自由に出入りできないという構造を有する病棟です。
私物の持ち込みも制限され、自傷・他害のおそれのある紐や刃物なども持ち込めません。
面会後、外出後等、病棟から少しでも外の環境と関わることがあれば、必ずボディーチェックをして、不要なものを持ち込んでいないかくまなくチェックされます。
全てが管理、監視、制限された場所で、こんな所あるのかと驚きました。
私は摂食障害もあるため、食事も皆と一緒の食堂ではなく、ナースステーションで看護師さんが監視する中の食事でした。食べ終わると、どの位食べたか記録される。出される食事の三分の二を食べないと、エンシュア(栄養補助食品)を飲まなければいけないと担当医に言われたので、三分の二は食べるようにしていました。
部屋は、2人部屋。ドアの横に窓があり、必ず中の様子が見えるようになっていました。カーテンはありましたが、着替えるとき以外は開けておくよう言われていました。
人によって変わるものといえば、拘束されるか、外に行けるか行けないか(お散歩の時間があり、1日1回行く人(許可がおりてる人)は行ってました。)作業療法として、皮工具をしたり絵を描いたり、フラワーアレンジメント等、作業ができるかできないかでした。
私は1年以上、病棟から一歩も外に出ることも、作業療法に参加することもできませんでした。
私は毎日食事を三分の二以上を食べエンシュアを逃れながら、毎食後1時間以上病棟内を高速ウォーキングし、夜は3日に1回親に電話をし、面会は1週間に1度するという毎日を過ごしました。季節感もなく、ただただ一日一日を送る。辛かったけれど、慣れれば日々淡々とこなすのみでした。
同年代の人も多く、摂食障害の人があまりいないということもあり、気持ち的には楽だった。一緒にウォーキングしたり、雑談をする友達?もできた。
1年が経ち、特に問題を起こすこともなく、食事も指示通り食べ続けて、やっと信頼?を得てきた。
信用してもらうって時間がかかるね。。(;'∀')
担当医師から食事を毎食完食したら、制限を考えると言われ、それなりに食事への抵抗もなくなってきていたし、色々考えて食べるのも疲れるので、食事を毎食完食するようになった。
そこから半年程経ち、作業療法への参加許可を得た。
ずーーーっと病棟内にしかいなかったのが、作業する場所に移動するために病棟を少し離れることができるだけでも、かなり嬉しかった。
しばらくして、ナースステーションでの食事が、皆と食堂でできるようになった。食べるのはものすごく遅かったが、閉鎖病棟は摂食障害の人が少なかったので、周りを気にすることなく、自分のペースで食事を食べることができたのは良かった。
そして、2年弱経った時、退院が視野に入ってきた。
母親と外出して食事をする許可がおり、最終的には外泊の許可がおりた。
久しぶりの外の空気は美味しく、感動した。病院があるのが、駅からだいぶ離れた、川が流れる穏やかな場所だったので、尚更気持ちよく感じた。
外出は、川沿いをプラプラして、近くのファミレスで昼食を一緒にとって、また病院に戻るという感じ。
食事への抵抗はだいぶなくなったとはいえ、メニューの選ぶ方法はなるべくカロリーが低そうなものだった。病院に戻ったら、必ず身体検査と、持ち物検査。身体を隅々まで触られ、変なものを持ち込んでないかチェックされる。
外泊は、1泊2日。最後は何度か2泊3日。
家までは片道2時間以上。久しぶりの家は、あんなに騒いで、暴れていた、大っ嫌いな場所とは思えない位、明るく、気持ちのいい場所に感じた。
食事も家族と三食食べ、外泊のたびにケーキ屋でケーキを買ってデザートに食べるのが嬉しかった。
あんなに食事に苦労していたのに、まともに食べれたのが、私も両親も嬉しかった。(自然に食べてはいなかったけど。頭フル回転で食事してました。)
外泊から帰ると、食事は三食食べているのだが、毎回体重が少し減っていた。
それを毎回嬉しく感じていた。(もちろん先生にはこの気持ちを言わなかったけどね)
そんな感じで、なんだかんだあっという間に2年が過ぎ、退院しました。
もう大丈夫だと思った。
退院後
こうして、何度も、何年も繰り返してきた入院生活ですが、入院生活は、いわば守られた世界での生活。外界からシャットダウンされ、現実世界と向き合う状況から離れ、とりあえず目の前のことをこなすだけ。
しかし退院すると、急に現実の世界が待っています。生活リズムも、食事も、全てが自由になり、どうしたらいいのかわからなくなる。そして、周りの目や家族関係、人間関係等のストレスがまた押し寄せてくる。根本的にはなにも変わっていないため、現実問題から逃げようと、また入院前と同じ状態に戻ってしまう。(食事制限をしたり、体重をまた気にするようになったり、減らそうとしたり、家族に当たり散らかしたり)
自分と向き合わない限り変わらない。
入院したことで、私の命は救われ、親も入院中少しは寝たり、振り回せれない時間が持てたのは良かったんじゃないかな?
私はまだ気付けていなかったので、退院しても毎回入院前と同じ状態に戻ってしまいました。
入院のメリット
・食事、行動への強迫観念から逃れられる。これをこうしなければいけない!何時にこうしなければいけない!等。
・ストレスの多い日常生活から離れ、心と身体を一時的に休ませることが出来る。
・生活リズムが整う。
・正しい一人分の食事の量とバランスを知ることができる。
・家族と一定の距離とれる。
入院のデメリット
・医療費がかかる
・強制的に行動を制限することで、心理面の回復がついてこない。
・入院の制限、環境によるストレス。
・入院している他の患者さんに影響される場合がある。
・学校や会社に行けなくなる(休学・休職または退学・辞職)
まとめ
入院治療は、無駄ではありません。
摂食障害は心の病なので、メンタルのケア、心理的な要因を治療しなければいけません。
しかし、心と身体は繋がっていますし、身体がボロボロでは自分の心の治療をするパワー、エネルギーがありません。
命にかかわる場合もありますから、時と場合では必要です。
病気を克服するには、気力や体力も必要です。必要に応じて、補助的な治療法を併用しながら、気長に、摂食障害という病気に立ち向かっていきましょう。
自分で判断は難しいので、困ったことは相談できるといいですね。
その為にも、信頼できる、なんでも話せる人との出会いを!
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摂食障害カウンセリング
何十年も戦ってきた摂食障害を、こうしてブログを通して伝えて、共感し、理解し、回復へ進めたらと思っています。
なかなか話せない、わかってくれる人がいない。当事者、親御様、周りの方々は本当に辛いと思います。
少しでも私がお役に立てればと思っております。
話を聞いてもらうだけでも、だいぶ違いますし、ご自身の気持ちも整理されます。
カウンセリング興味ある方がいらっしゃいましたら、コメントいただければと思います。
質問や、この時どうだったか等、疑問質問でも構いません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

